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  関東運輸局による一般貨物自動車運送事業者に対する事業許可の取消処分

  4月8日付けで、関東運輸局は関東西部運輸株式会社に対し、一般貨物自動車運送事業の事業許可取消処分(平成31年4月22日をもって)を行いました。

処分理由は平成31年1月17日及び同月23日に関東西部運輸株式会社本社営業所に対し、監査を行った結果、乗務時間等の遵守違反(貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項)、点呼の実施義務違反、運転者に対する指導監督違反他、貨物自動車運送事業法に抵触する法令違反が確認され過去の累積違反点数とあわせ81点以上となり、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」に規定する「許可の取消処分」に該当することになったものによります。

 貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項とは

 「貨物自動車運送事業者は、休憩又は睡眠のための時間及び勤務が終了した後の休息のための時間が十分に確保されるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転手にこれらを遵守させなければならない。」 

  長時間労働は運転手の過労による健康障害や重大交通事故に結びつきます!

  今回の大変に厳しい事業許可取消処分は決して他人事ではありません。現在は地方運輸支局の監査結果だけでなく労働基準官署による長時間労働等の改善基準に違反についても相互に情報が入ることになっています。4月1日から働き方改革がスタートしました。運輸業は残業等の労働時間上限規制は5年先延ばしとなっています。まだ5年あると悠長なことを言って労働時間管理対策をおろそかにしているとあなたの会社も厳しい現実を突き付けられることになります!今後ますます行政の対応が厳しくなることを忘れないでください。国も道路貨物自動車運送業は、荷主や配送先の事情もあり、事業者だけの自助努力だけでは長時間の改善に限度があるとし全日本トラック協会等関係団体とも長時間労働改善のための議論を行っています。早急な取り組みが急務です!

  今後も続く運送業の長時間労働 

   運送業は他業種と比較して長時間労働となっているのが実態です。しかし、運送業界の長時間労働の歴史はそんなに古くからのものではありません。

 戦後の経済成長の中、あふれる物流と豊富な労働力により、運送業は高い利益をあげておりました。

 路線大手各社は当然のようにツーマン運行(二人運行)を行っていましたし、また今では考えられないことですが、一般の小型集配車両でさえ配送助手が一緒に乗務していたのです(現在引っ越し以外で集配車両に助手が乗務している会社はないでしょう)。

 ところが、1990年代後半から日本経済の不況の影響により物量が極端に減少し、また燃料費の高騰も重なり運送業の経営は大きなダメージを受けることになりました。その結果、運送各社は生き残りのために人員の削減を行ったのです。

 さらに、追い打ちをかけるように運送業界は“3K”(キツイ・キタナイ・キケン)業種と言われ、若年労働者は長時間、低賃金の運送業界から遠のいてしまいました。

 その後も、規制緩和により運送業界へ参入する業者が増加し、少ない荷物(商品)を時には採算を度外視して奪い合うという事態になりました。

 このような悪循環の中、運賃の値下げの影響により効率よく荷物を配送するために労働基準法に抵触するような長時間労働が常態化することになったのです。同時に、運送業者の過積載も大きな問題となりました。

 その結果、運送業者の長時間労働による過労運転での重大事故多発として社会的に大きな問題となってきました。

 国やトラック協会はこのような事態に対応するために積極的に取り組み改善を図りました。

 特に、平成元年2月に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という自動車運転者の労働時間等の労働条件を改善するための告示(当時の労働大臣)が出されたのです。この告示により、トラック運転手の「拘束時間」「運転時間」「休息時間」「休日労働」などの基準が定められ、労務管理や運行管理はこれを遵守しなければならなくなったのです。

  《改善基準のポイント》

  ① 1日の拘束時間は13時間以内(原則)

  ② 1日の最大拘束時間は16時間以内

  ③ 月の拘束時間は293時間以内(労使協定があるときは、1年のうち6カ月までは、1年間についての拘束時間

          が3,516時間を超えない範囲内において320時間まで延長が可能)

  拘束時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間です。

  ④ 連続運転時間は4時間以内(運転の中断には、1回連続10分以上、かつ合計30分以上の運転離脱が必要)

   ⑤ 1日の運転時間は9時間以内(2日平均で1日当たり)

  ⑥ 1週の運転時間は44時間以内(2週間平均で1週間当たり)

  ⑦ 休息時間は継続8時間以上(運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めること)

  ⑧ 休日労働は2週間に1回以内、かつ1カ月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内

  

   現在運送各社は、改善基準を遵守するため、また長時間労働による重大事故防止、健康管理のために、運行計画の見直しや、集荷時間が遅くなるコースを特定の運転手に固定させない、運転業務以外で残業をさせないなどの配慮をしています。

 さらに、運行管理者は運行計画や毎月の運転手全員の交番表を作成し、長時間労働とならないように計画的な休日、休暇をとらせるなどの努力をおこなっています。

 しかし、このような運送各社の懸命な努力にもかかわらず、いまだに長時間労働が行われているのが実態です。さらに問題となっているのは、景気低迷による荷主からの厳しい運賃の値下げ、配送要求に対し生き残りをかけて採算を度外視して商品を輸送しなければならない現実もあります。

 ※平成23年11月29日、貨物事業運送事業者の長時間労働及び過重労働による労働災害が減少しないことから、関東運輸局東京運輸支局長、東京労働局労働基準部長名で荷主団体代表に対し、「貨物自動車運送事業における安全運行の確保、過労運転防止及び荷役作業の安全確保のための協力要請について」を出し、長時間労働による労働災害防止を積極的に推進しています。  全文はこちら

 その結果、採算のあわない大手の運送会社は自社で輸送をせずに手数料だけ取り、傭車会社に輸送をさせることになります。傭車会社は車両ボディまで傭車先の会社のカラー表示に変えているため、業務依頼をすぐに断ることもできず、泣く泣く無理な輸送を行うことになるのです。

 このように今後も運送各社、特に中小零細の業者の長時間労働は続くことになるでしょう。

  司法処分も! 厚生労働省は悪質な事業者に対しては厳正な対応を行うとしている

 このような長時間労働が常態化し、過重労働による交通労働災害や健康障害が発生することを防止するために厚生労働省は危機感を持ち、自動車運転者の労働時間等の労働条件確保のために全国の労働基準監督機関に対し監督指導を実施させた。平成25年は前年より30%少ない3,016事業場に対し監督を実施したところ、2,500事業場で労働基準関係法令違反が認められた。この件数は実施事業場の82.9%にも当たる。さらに、実施事業場の65.6%に当たる1,980事業場で「改善基準告示」違反が認められた。厚生労働省では道路運送業者の法定労働違反や「改善基準」違反が一向に改善されない事態を深刻に受け止め、労働基準関係法令の周知徹底をはかるとともに、長時間のおそれのある事業場に対し、重点的な監査指導を実施することにしている。さらに、指導に従わず、また法令違反を繰り返す悪質な事業場に対しては司法処分を行うなど厳正に対応するとしている(平成25年は48件「トラック運送業」が送検されている)。

また、国土交通省地方運輸機関との相互通報制は労働基準監督機関からの通報が974件、労働基準監督機関が通報を受けた件数が256件となっている。

 ※送検事例 地方運輸機関からの通報を受けて臨検監督を実施したところ、トラック運転者に対し、時間外労働・休日労働に関する協定で定めた上限時間である月80時間を超える月99時間の時間外労働を行わせていた。再三の指導にも関わらず、拘束時間及び時間外労働を削減しなかったことから、悪質と判断し送検した。→ トラック事業者とその取締役社長及び営業部長を送検

  平成31年3月29日に公表された監督指導結果によれば東京労働基準局管内の道路貨物自動車運送業に対する臨検監督を271事業所に対して実施し、うち220事業所(81.2%)に法令違反がありました。また「改善基準」告示違反は153事業場(56.5%)でした。

 居眠り運転による事故発生を契機として、労働時間管理に問題があると懸念される事業場に対し臨検監督を実施し、労働時間に係る違反及び改善告示で定める最大拘束時間を超えていた事業場に是正勧告を行っています。さらに脳疾患で死亡した運転者の労災請求を契機に臨検監督を実施し、労働時間に係る違反について是正勧告したにも関わらず是正をせず違反を繰り返した会社及び代表取締役を労働基準法違反容疑で書類送検をしています。

① 平成30年における労働基準関係法令の主な違反内容   

労働時間   休日 割増賃金 最低賃金

 139件 

  14  98件  18件

 51.3%

  5.2%

  36.2%

 6.6%

②平成30年における改善基準告示の主な違反内容 

 最大拘束時  総拘束時間  休息期間  連続運転時間  最大運転時間 休日労働
  114件    97件   71件     47件     22件  13件
  42.1%   35.8%  26.2%     17.3%     8.1%  4.8%

 東京労働局は監督指導実施結果を踏まえ、今後も引き続き長時間労働が懸念される事業場を対象に監督指導を実施し、法令や告示の遵守、長時間労働の是正について指導していきますとしています。

 運転者の人員を増やせば長時間労働問題はすぐに解決する!? でも、それでは採算が合わない。それに手をこまねいて何もしていないのではない。コースを見直したり、車両にデジタコを装備したりして工夫や苦労をしているんだ!と仰る経営者の方。

私も運送業におりましたのでその気持ちは十分に分かります。簡単な解決策はありませんでも、より良い改善の道はあります。お手伝いをさせてください。

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